生命保険の検討は、確率や期待値をしっかり考えるべき?

保険検討中の方

保険のプロ「生命保険は期待値を考慮して検討すべき。保険はギャンブルなのだから、統計や確率のことを考えて必要性を判断すべき。」

こんなネット記事を見たのですが、嘘と言うか見当違いなことばかり書いてて驚いたので、ちゃんと説明します。また、期待値よりはるかに重要なことがあるので、お伝えします。

アクチュアリーという保険料や会社の収益などを計算する仕事を約5年行っていましたので、まさに確率や期待値などを複雑な計算で求めてました。

数字は苦手だからそういうの分からない!!という人にも分かりやすく、保険会社の社員ですらよく分かってないことまで突っ込んで解説しますね。

目次

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生命保険の検討をする際は、確率や期待値をしっかり考えるべき?

保険は確かにギャンブルの側面があり、確率をよく考えた方が良いというのは合ってます。生命保険とギャンブルの、共通点と違う点について詳しく説明した記事があるので、ぜひ読んでみてください。

重要なポイントはただ一つです。

起こる確率が低いほど、もらえる金額が大きい

例えば、若い人の死亡ってほとんどないですよね。あまり当たらないという意味で、宝くじで言うと1等です。つまり当選金は高額。

逆に、年配の方の入院って割と起こりますよね。よく当たるという意味で、宝くじの5等とかです。当選金は低額になります。

確率はこれくらいのことが分かっていればOKです。

結論を言うと、よく当たる低額なものは、保険に入ってもメリットが少ないです。当選しても低額のお金しかもらえないので、貯金で賄うのとあまり変わらないからです。

かなりシンプルに言ったので、詳しくはこちらを見てもらった方が良いです。
→医療保険は必要なのか、不要なのか。(工事中)

子持ちで若い新婚の夫婦なんかは、貯金があまりないことが多いと思います。
こんな状況で、夫が亡くなったとき、残された家族のために大金が必要ですが、貯金では賄えない。

こんな時に生命保険を使うのが理想的です。

オススメの生命保険はこちらで解説しています。

期待値を考える必要はない

さて期待値の話をします。すごくざっくり言うと、平均という意味です。

保険に入ると、平均的に得をするのか、損をするのか、と言う話になります。当たり前ですが、保険に入ると平均的に損します。期待値を出すまでもないです。

保険会社は慈善事業でやってるわけじゃないので、自分たちが儲かるように作っています。したがってその分、契約した人たちが平均的に損するようになっています。

どの保険でも同じです。

私がネットで見た保険に割と詳しい雰囲気を出している人(ファイナンシャルプランナー)が、我流で必死に入院する確率を求めていたのですが、ちょっとズレまくってるんですね。

どうせ期待値は損です。当たり前すぎて考える必要がないです。

保険で得するってどういうこと?

これが今回の記事で最も重要な話なのですが、保険で得をするってどういうことか分かりますか?

例えば医療保険に入って得をするっていうのは、払った保険料以上に、入院給付や、手術給付を受けるということです。

これって幸せですか?

本当にハッピーエンドは、ずっと健康なまま居ることなんですよね。

これが期待値を気にする人の頭がちょっとズレてるなって思う理由です。

重要なのは、期待値(平均)ではなく、あなたがどうなるかです。保険の期待値を計算したら得だった!わーい!入ろーーーって結構アホですよね。

そんな計算してる暇あったら、生活習慣を見直して、運動して、少しでも健康になれるよう努力した方が良いです。

さて次は、少しマニアックな保険と数学の話になるので、あまり興味がない人は飛ばして、その先にお進みください。

そもそも素人に保険の期待値は出せない

まず普通に計算が難しいです。大学、大学院で数学科出たような人たちが、保険数理という学問チックなものを何年も勉強して習得するものです。

私もかなり苦労しました。アクチュアリー、難易度とかでググると分かります。それはさておいて期待値は平均のことでしたね。

例:1%の確率で、10000円がもらえて、99%の確率で100円がもらえるクジが、200円で売っていました。このクジ買いますか?

このクジの期待値は、起こりうる金額と確率をそれぞれ掛けて、足すとわかります。

クジの期待値:10000円×1%+100円×99%=199円
クジの値段は200円ですので、クジの期待値より高いですね。

この結果から、このクジは期待値(平均)的に損という言い方をします。
平均的に考えると、クジを買った値段に対して、損をするということです。

話を医療保険に戻しますが、残念ながら素人に期待値など計算できません。

保険会社の限られた部署でしか知り得ない情報が必要なので、部外者のファイナンシャルプランナーがいくら憶測で計算しようと、まるで間違ったものが出てきます。

期待値を出すためには、確率を知る必要がありますが、保険会社が実際に計算に使用する入院確率は、部外者には分かりようがありません。

部外者はおろか、社員ですら知ることができず、限られた部署止まりの情報です。

ネットの記事の人は、公的な機関が発表している入院確率を使っていましたが、残念ながら使うデータが余裕で間違っているのに加えて、実際は、前述のアクチュアリーが、計算で特殊な処理を施すので、本当にいよいよ部外者には絶対に分からないです。

この不透明さが、生命保険が嫌われる原因なのかもしれませんが、それを言ってもしょうがないので、とにかく期待値など計算できるわけがない、ていうか損に決まってるということだけ覚えておけば十分です。

生命保険を検討する上で期待値より1億倍大切なこと

生命保険は金融商品なので、得なのか損なのかを気にして、期待値を考えようとする気概は良いのですが、もっと大切なことがあります。

あなたが本当に生命保険を必要としているのかどうか。

期待値は二の次です。

結婚して専業主婦の妻と幼い子どもがいて、貯金が全然なかったとします。

この状況下において、保険は期待値的に損だから、保険に加入するのはやめとこーって、それはちょっとアホすぎるというか、人生終了しかけてます。

本当に人生が終了した時に、残された奥さんや子どもは困るわけです。国から十分にお金が補助されれば良いですが、今の日本は残念ながらそうではありません。

もちろん自分は死なないと信じて、それに賭けて保険に入らないのは一つの選択肢としてOKですが、自分にとって生命保険が必要かどうなのか考える際には、期待値抜きで検討してOKです。

で、さらに大切なのは、健康状態を向上させようとしているのかどうかです。

保険に入ったから一安心だわ。あわよくば不健康になってたくさんお金もらって得しちゃおーはちょっと愚かですね。

先ほども言いましたが、一番ハッピーなのは死んで(病気になって)保険会社からたくさんお金をもらうことではなくて、自分が健康で居続けることです。

暴飲暴食して、タバコも吸いまくって、ろくに運動もしない人間が、生命保険は期待値どうだからうんたら…と語るのは、残念極まりないです。

今回の話が、ちょっとでも生命保険の検討の手助けになったら嬉しいです。